0831 8月28日(土)




「凜ちゃんに質問があります」
「ちょっとまって!いまいそがしいの!」
 凜が突然ホットケーキを食べたいと、しかも自分で作りたいと言い出した。真剣な顔でボールからベタベタと素をこぼす31歳児を滑稽な目で見ていた時だった。
 凜の要望に応じ、フライパンでホットケーキを焼き、二人で食べ、皿を洗い終える。
 これが最後の晩餐だろう。
 俺は凜をテーブルの向かいに座らせソファに腰かけた。
 一息おいて言葉を切り出す。
「凜ちゃんはお父さんやお母さんとおじさんと、どっちと一緒に暮らしたい」
 答えなんて
 聞かずとも分かっている。
「おとうさんとおかあさんのとこにいたい」
 それが三十一歳の姿をした四歳の凛の答えだった。



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