天球儀 其の零

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天球儀 其の零 ep.1 三月「牡羊座の姫君」

世の中に自分を嫌っている人間はどれほどいるのだろう? そんなことを考える奴なんて余りいないかも知れないが、俺はほぼ毎日考えている。 そして結局途中で考えるのを止める。   要するに俺は俺が嫌いだ。       2010年3月1日   ...
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天球儀 其の零 ep.2 四月「牡牛座の親友」

 真新しい一戸建てに携帯の音が鳴り響く。 「ミポリン。ケータイうるさいス。春休みくらい昼まで寝かせてよ」 「あ〜、ごめん〜。えっと〜ちょっと〜出かけてくるね〜」 「えー、まだ8時スよ。どしたの?」 「ごめんね〜」  バタバタと階段...
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天球儀 其の零 ep.3 五月「牡牛座の横恋慕」

「暴力事件?」  五月に入っても十二宮室には二人きりだった。 「はい〜。2年生の女生徒が〜男に殴られて骨折したって〜。他校の高校生っぽかったって〜言ってますけど〜はっきりは分からないって〜」 「カツアゲでしょ〜」 「それが〜お金は...
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天球儀 其の零 ep.4 六月「蟹座の罪人」

「市川君……?なんで……」 「高坂先輩は伊賀リュウイチ先輩の友人だったんです。俺も従弟でよく一緒にいたので。それで高坂先輩が命令して……」 「なんなのよ、それ!?そんなことして誰が得するの!?」  病室にもかかわらず玲奈は大声を...
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天球儀 其の零 ep.5 七月「獅子座の秘密」

「あの、すんません」  早朝の中務道場の前で立っていたまゆりに赤い髪の少年が尋ねた。 「はい?」 「ちょっと伺いたいんですが、小野香歩子はいますか?」  まゆりはその制服から自分と同じ高校だということは分かったが少年に見覚えはなか...
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天球儀 其の零 ep.6 八月「乙女座の恋煩い」

 私は 子供の頃 お母さんに捨てられた。  いわゆる 資産家の男性の愛人の子、ということだ。  お父さんは 認知してくれたけど 本妻の人が 当然といえば当然だが 一緒に暮らすのを嫌がって マンションを一室あてがわれた。  味方は ...
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天球儀 其の零 ep.7 九月「天秤座の混乱」

 どうしてだろう。  どうして俺は好きになってもらえないのだろう。  当たり前のように好きだった。  愛していた。それが当然で必然なのだから。  俺の傍には沙羅がいて  でも沙羅は俺を見ようとしなかった。  どうしてだろう。  ...
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天球儀 其の零 ep.8 十月「蠍座の真実」

 図書館の学習スペースで葵と譲は向い合って山のような追課題を片付けていた。 「あーうーあー」 「葵ーうるさいよー」 「だってさ!、先月ずっと警察と病院行ったり来たりだったんだぜ!」 「付き添った俺の身にもなってよー。葵がすぐに病...
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天球儀 其の零 ep.9 十一月「蛇遣座の迷走」

 警察署から高坂が出てくるのを館林と玲奈は待っていた。 「男らしくない」 「すみません」  館林はしょぼんと肩を落としている。高坂が自分が名乗り出ると言って聞かずに押し切られた形になった。玲奈はその付き添いの形になった。 「あの...
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天球儀 其の零 ep.10 十二月「射手座の不具合」

 ゆっくりと体をゆらゆらさせて玲奈に向かってくる。両手には何も持っていない。だのに狂気を感じる。  玲奈は動けなかった。  その細い指がゆっくりと首に向かう。    ガンッ!  大きな音で我に返った。  館林が鞄で思い切り譲を殴...
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