自由詩

自由詩

心のかたち

心にかたちがあったとし私のかたちがあったとし指紋のように角膜のように秘密の形があったとしそれはどんなものでしょうか心をきれいにリボンで包み店の棚に並べたらあなたはちゃんと間違わず私を選んでくれるでしょうか私を選んだあなたは心にどんな名前をつ...
自由詩

歩く

歩みを止めてはいけない倒れてしまう砂漠の中心でも氷の大陸でも決して足を止めてはいけないそうして歩き続けた身体中傷まみれでも死にたくても世界の終わりの場所で初めて気づくそんな馬鹿げた寓話いったい誰が言いだしたのか母だったか父だったか中学の林先...
自由詩

とってもだいすき

世界の音が煩くて世界の色が煩わしく私は押入れの隅に蹲っていたそこにしか私の居場所はなくしかし深い暗闇は私を歓迎してはくれず行き場をなくして震えてた押し入れで寝起きできるドラえもんに憧れてどこでもドアでこの世のどこでもない世界に行けないものか...
自由詩

高い声は嫌い耳が痛い低い声は嫌い耳が怖い大きな声は嫌い耳が壊れる小さな声は嫌い耳が疲れる世辞は嫌い耳が塞がる悪口は嫌い耳が汚れる世界中の音が嫌いなにもかもあらゆるもの騒がしい君の声以外すべて嫌い世界の音がすべて消えて君の声だけ聞こえるならば...
自由詩

真実

心は死なないと生まれ変わるのだとあなたは泣き喚き痛みに身を捩るそんなわけないのにこの世界にそんなものあるわけないのに私が冷たく落とした視線にあなたは怒り狂い恐怖に打ち震えるそんなものないだってもしそんなものあったら私はあなたと一緒にいない私...
自由詩

続く日

山に登り海を泳ぎ街を歩き評判の菓子を食べ夕飯を作りともに眠り朝起きてコーヒーを飲み撫子に水をやり愚痴を言い腹を立て口論し茶碗を投げ割れた茶碗を片付け夕飯はカップ麺撫子は萎れそしてまた眠るそうして毎日規則正しく地球は一回りを繰り返し少しも違え...
自由詩

よかったと

あなたが死んでいてよかったと心の底から思うのです今の世界をあなたが見たら優しく脆いあなたの心は狂って壊れてしまうでしょう私は幸いあなたより心は鈍く強かだったみたいですあなたが死んでいてよかったと心の底から思うのですだのに目を覚ます度あなたを...
自由詩

解散

5人で輪になって指切った卒業式の帰り道一生一緒だと声を上げ別れた桜の雨の中若い誓いは3月も保たずすぐに疎遠になったけどあの日の指の冷たさを今も私は忘れられないあなたたちは今どこで誰とどんな約束を交わしていることでしょうねぇ私はまだここにいる...
自由詩

途方無い

全人類の読むべき詩を書けと言われたそのなんと主語の大きなことかまず何語で書けばいいのか何語なら全人類に伝わるのか赤ん坊にはどう言えばいいのか喃語なら赤ん坊に伝わるのか意識ない病人にはどう言えばいいのか心を込めれば伝わるというのか文字の読めな...
自由詩

ここにあり

空がここにあり雲がここにあり風がここにあり花がここにあり君がここにいて君には家族がいて君には愛する人がいて君を愛する人がいて君には嫌いな人がいてその人も家族がいて愛する人がいてただそれだけのことそんな当たり前のことたったそれだけぽっちのこと...