免許




 それなりに
 せつない



 君がいなくなって
 分かったこと、
 と言えば
 ひとりって案外
 暇だって事くらい



 持て余した時間を
 使いきるために
 気まぐれに
 通い出した
 教習所



 これが結構
 思ってたよりも
 大変だったりして
 あぁ
 器用な君なら
 きっと
 こんなところで
 みっともなく
 かすったり
 道間違えたり
 ましてや
 逆走なんか
 しなかっただろう
 どんな遠くにでも
 連れて行ってくれた
 どんなわがままでも
 叶えてくれた
 もう二度と乗れない
 助手席の
 シートの柄とか
 バックミラーに
 ぶら下がってた
 マスコットとか
 考えると
 今更
 泣けてきて
 曇る視界
 ハンドルを
 握る手を
 ぎゅっと強めた



 「ありがとう」
 とか
 そんなこと私
 口が裂けても
 言えやしないけど



 それでも
 それなりに
 分かった君の
 ありがたみ



 呼んでも
 叫んでも
 届かない
 君との距離に
 ようやく
 戸惑うことを覚えた
 私は
 きっと
 あの道を
 ひとりで走り出す
 許しがほしくて
 こんなにも
 必死になっている
 
 
 

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