国語の話

国語の先生が一番教えにくい文学作品はなんだろう。

私は教員資格も持ってないし教壇に立ったこともないが、この疑問には一つの答えを持っている。
宮沢賢治だ。
というのも中学3年間国語を担当していたO先生が宮沢賢治を蛇蝎のごとく忌み嫌っていたのだ。

O先生は演歌が大好きな中年男性教諭で学年主任だった。
志賀直哉と森鴎外をこよなく愛していた。
芥川も割と好んでいたように覚えている。

そんなO先生が、教科書をめくりながら
「次は宮沢賢治か。よし、飛ばすぞ」と教科書の宮沢賢治を華麗にスルーしたのだ。
確か「水仙月の四日」だったように記憶している。
公立中学で国語の作品一つを先生の一存でスキップするということは指導要領的にアリなのか未だにわからない。

ちなみに私は複数の中学から生徒が集まる進学塾に通っていた。
その塾は定期考査前になると学校ごとにクラスが分けられテスト対策が立てられる。
塾の先生にテスト範囲を教えると
「ふむふむ、ぴよりの学校は国語は〇〇から☓☓と…あれ?水仙月は?この間にあっただろ?」
「O先生が嫌いなのでなしになりました」
「は?ちょっと待て。またぴよりはふざけたこと言って。違うよな?」
と同じ中学の他の子に尋ねると
「ウチのクラスでもやりませんでした」
「私のクラスはO先生じゃないけど、O先生が嫌いだからやらなくていいってやりませんでした」
「……(絶句)」

水仙月の四日は高校に入ってから自主的に図書室で読んだけれど、確かにこれの詳細を城の崎にてを愛する叙事主義の先生に説明しろというのは酷かとも思った。

でも
スキップするなよ
O先生…。

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