0831 8月15日(日)




 『かず君』……いや、東和也さんと会い、心当たりがあるかと聞いてみたが、彼は首を横に振った。妻とは大学入学の時に知り合って、それ以前のことは知らないと言う。
「ただ、家族と上手く行っていないみたいでよく悩んでいましたね」
 アイスコーヒーを飲みながら、呟いた。
 しかし、妻の幼なじみに心当たりがあるので当たってみる、と俯いた。彼も多少なりの責任を感じているようだった。
「言い訳をするようですが、俺は高校の時から付き合っている彼女がいましてね。今はその人と結婚して子供もいるんですよ。神原さんの気持ちに気づかなかったって言えば嘘になりますが、応えることは出来なかった。ですから結婚の知らせを聞いた時は正直安心したんですよ」
 和也さんは大きくため息をついた。
「結婚相手の名前が東一哉、と聞くまでは」

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