森の話3

自慢はこのくらいにして、少しどうぶつの森の薀蓄…というか個人的にすごいと思うところを語ろうと思う。

私がどうぶつの森を初めてプレイしたのはゲームキューブ版だった。
64版は未プレイなので、64版のことはほぼ全く知らないものとして見逃してほしい。

どうぶつの森をプレイした時、現実世界と時間や季節がリンクしてること、明確なエンディングがないこと、それどころか明確な目的すらないこと、まだPHS全盛期に今で言うソシャゲガチャのようなシステムを作り出したことなど、様々な新しい点があった。

しかし私が最も驚愕したのはその声だった。

どうぶつの森のキャラクターの声と言えばビデオを早送りしたような声で、声だけ聞いても何を言ってるかわからないけど、文字を見たら何となく声と内容が一致しているような気がするアレだ。

で、少しゲーム史の話をしたいと思う。

ゲームに本格的に声がついたのはテイルズシリーズだったと私は思っている。
もちろんフルボイスではない。

その前にもぷよぷよの漫才などに声はついていたが、コンパイルの社員(声の仕事は全くの素人)がアフレコをしていた。

そこで初めて有名な声優さんに声を当てさせたのが(多分)テイルズだった。

それと同時期か直後にときメモがブレイクする。
そしてギャルゲー、乙女ゲー(当時はネオロマンスゲームと言っていた)の戦国時代が訪れる。

各社がこぞって有名声優や売れそうな声優を引っ張ってき始めた。

で、問題になるのがプレイヤーの名前を呼ぶ時どうするか、だ。

主に3つの解決策が合った。
・主人公の名前を固定にして自分の名前でプレイできないようにする。
・名前を呼ばない
 例えば「ぴよりくん大好き」と言う時、テキストには名前を書いて、音声では「………くん大好き」と言ってる感じだ。
・テキストでは名前を書くが、声では名前を「キミ」や「あなた」に言い換える。
 これは今でも割と使われる。

でもオタクは非常に面倒くさい生き物なので
「疑似恋愛のときくらい可愛い女の子に自分の名前を呼んでほしい」
という謎の欲望を発揮する。

それに応えたのがときメモ2だった。

EVSというキャラの声を組み合わせて自分の名前を言ってもらえるシステムができたのだ。
一部では隠語を言わせたりして間違った盛り上がりを見せたりしていたが、当時プレイした私の感想としては

死ぬほどめんどくさい

だった。

「ぴより」と呼ばせるのにイントネーションやら発音の仕方やらを1文字ずつ設定しなければならず、それだけで30分くらいかかってしまう。
やったことないのでわからないけど、ボカロの調教のような感じだと思う。

ギャルゲーのセットアップに30分も使いたくない。

また一文字ずつ色々なイントネーションを設定する必要があり、声優さんの収録時間がものすごくかかってしまうので、人気声優さんは使いにくい。

結果、EVSはごく一部のエロゲなどを除けば衰退してしまった。
今は↑で言えば、名前固定か「あなた」に言い換えが主流だろう。

でもやっぱり名前を呼んでほしい。
そこまで行かなくてもテキストと音声が違うのが気持ち悪い。

そこで画期的なシステムを(しかしどうぶつの森でしか使えないシステムを)作ったのがぶつ森だった。

聞き取れないレベルの早口で喋らせることで「イントネーション?知るか!」という力技を見せることができる。
聞き取れないので人気声優さんを使う必要もない。
それどころかミックスのパターンを変えれば声の吹込みは何なら1人でもいいし、ド下手くそな素人でもいい(実際はどうなのか知らないが)
それでいて舞台が現実ではないので異世界感のようなものも出せる。

一応言っておくとぶつ森はDSで人気に火がついたので、それまではニンテンドーにしては割と珍しい知る人ぞ知る低予算ゲームだった。

あまりにもこの手があったか!というシステムである。

これならうっすら「ぴより」という名前も聞こえる。
テキストと声の差異も生まれない。

ぶつ森は恐竜の名前が覚えられるとか、昆虫の造形の素晴らしさについて語られることが多いが、私としてはこの「超早口により設定とかせずにキャラに名前を呼ばせることが出来た」というシステムをめちゃくちゃ評価したいのだ。

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