ホワイトデーの話2

今日はホワイトデーだ。

私は小さい頃からイベント大好き人間だったので、幼稚園くらいの時から父と兄にマメに義理チョコを渡していた(幼稚園のときは折り紙とか手製の肩たたき券だったけど)

で、ホワイトデーにはマメに父と兄がそこそこセンスのいいお返しをくれるのだ。

必ず母経由で。

何度も言ってるが、父は脳の99%が仕事のモーレツ社員で、兄は重度のアスペだ。

そんな2人がホワイトデーにそこそこセンスのいいプレゼントを私に選ぶわけがない。

察しのいい方はもうお気づきだろうが、母が自分で買ってきて「これはお父さんから、こっちはお兄ちゃんからね」と渡してきたのだ。

私はこの単純すぎるカラクリに小学高学年まで気づかなかった。

ある年のホワイトデーだった。

母が「お兄ちゃんから」と渡してきたのは、可愛いかごにカラフルな半透明の小さなハート型の何かがたくさん入ったものだった。

当時流行っていたギザギザのリボンとかで可愛くラッピングされていたような気がする。

後から思えば、1個ずつ個包装されていなかったのだが、当時はまだ食品衛生とかが今ほど厳しくなかったので完全個包装されてるお菓子のほうが少ないくらいだった。

「わーい、キャンディだ!」

七つの大罪では暴食にステータス全振りしているグラトニーぴよりは何のためらいもなく、それを開けて口に放り込んだ。

うげぎゃぼびげきゃぽたぴく!!!!!

私はそのキャンディのはずの物体を吐き出した。

明らかに食べ物ではない。

そう、それは小さな色つきの石鹸だったのだ。

今思えば、多分、母も石鹸だとは思ってなかったと思う。

特に色気づいてるわけでもない小学生がマイ石鹸を持ちたがるわけがない。

インテリア用にしても少し背伸びしすぎだし、それならそうと渡した時に言うだろう。

何よりグラトニーぴよりが喜ぶものはマンガと画材以外では食べ物一択だ。

しかし兄がこれを買ったのだ、日頃から私は兄への態度が非常に悪かったので、これは兄からの手の込んだ嫌がらせだ(アスペ兄がそんなことできるわけないのだが)と思い込んだ私は自室の隣の兄の部屋の扉を蹴破り(本当)あらんばかりの言葉で兄を罵倒した。

兄は全くわけがわからなかっただろう。

そもそもホワイトデーの存在を知ってるかも危ういのに、妹はあげた覚えもないプレゼントがキャンディかと思ったら石鹸だった、と意味不明なことを捲し立てているのだ。

私のあまりの怒声に母が何事かと飛んできて、ホワイトデーは全部母の仕込みだったと自白した。

その翌年からは開き直って母にほしいものをピンポイントでリクエストするようになった。

後になって気づいたのだが、兄はともかく、父からは「これぴよりから」とチョコを渡した時に「これでなんか買ってやれ」とそれなりの現金をもらっていたようだ。

なので普通に「母ーこのオイルパステルってやつ使ってみたいんだけど、今年のホワイトデー予算いくらー?」と尋ねる非常にドライなホワイトデーになってしまった。

実家を出てからは、父と兄にもバレンタインをあげなくなってしまった。

多分、母は渡しているはずだが(ダンナさんにもわざわざ郵送してくるので)あの2人はホワイトデーの存在を知らないまま、一生を終えるのではないだろうか。

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