POEM

短詩

短詩心唄

待ち人をさがす   ショーウインドウの中   春よ   お前は今どこにいる?         牛丼屋にひとりで行ける   女にだけは   なりたくない   と思ってたのに         サボテンと   マリモ三匹   私ひとり   お手軽...
短詩

短詩想唄

原稿用紙3枚に収まる   恋物語   罫線の中   飛ぶ術もなく         君に毎年   おなじことばを   言える   そんな幸せもある         君に恋しなくてよかった   切なさも   喜びさえも   感じずに済んだ   ...
短詩

短詩晴歌

晴天なり  今日から君を  愛することに  決めました        来ないなら  先に始めよう  さぁ、皆の衆  存分に楽しみたまえ        いざ  尋常に  君を  愛す        そんな気もないのに  そんなこと言う  さぁ...
短詩

短詩雨歌

言葉を紡ぎたいわけも  想いを残したいわけもなく  単に誰かと  話したかった         PAINTの  中に隠れた   PAINの字  見つけた翌朝  右手が痛いよ        封印した蛇口を軽く  ひねったら  溢れ止めどない ...
自由詩

決めた日

37の8月に 私は妻でいることをやめた。 それはとても暑い日のこと 確か原爆記念日で コミケのツイートが煩い日 私は妻でいることをやめた。 5時に起き 朝食を作り 洗濯をし 冷たい麦茶を切らさず いつも笑って 悲しい時は静かに泣いて 夜は早...
自由詩

自由研究

あなたが 盆休みに ローストビーフを 作ってあげると言い出すから 菊水で グラム1800円の 牛ブロックを買ってきて 成城石井で 2000円の 赤ワインを買ってきて 図書館で レシピをコピーして ああ わかった これが 36年生の自由研究だ
自由詩

令和元日

今年の5月の1日のこと、 私は時代ふたつ前の 生まれになってしまった。 日本中がお祭り騒ぎ。 一月もすれば きっと忘れる。 きっと これから10年もすれば 「戦争の話聞かせて」と 無邪気なこどもに聞かれるのだろう。 ごめんね おばちゃんは ...
自由詩

チョコレート

転けて泣いたらチョコレート 勉強に疲れたらチョコレート 仕事で叱られたらチョコレート 死にたくなったらチョコレート チョコレート チョコレート チョコレート チョコレート チョコレート そうして私は チョコレートが 何より嫌いなものになった...
自由詩

夏が終わる

「あら、息子さんお元気?」 「もう試合終わってからはダラケちゃって、  昼過ぎまで寝て、夜中までスマホして  どうしようもないわよ」 「仕方ないわよ。あれだけ投げきったんだから」 「でも受験もあるのよ」 「ドラフトとか来ないの?」 「来ない...
短詩

短詩華歌

美しさ、正しさ、自由を兼ね備え 生きてる人など 一人もいない       鴎外をいい男だと 思うよになり 不惑の歳迎えつつあり       南極のごとく冷えた店一人 とんこつしょうゆを 掻き込む女       通夜の場で スマホの音を切り忘...