短詩想唄




  原稿用紙3枚に収まる
  恋物語
  罫線の中
  飛ぶ術もなく
 
 
 
  君に毎年
  おなじことばを
  言える
  そんな幸せもある
 
 
 
  君に恋しなくてよかった
  切なさも
  喜びさえも
  感じずに済んだ
 
 
  素顔すら見たことのない
  君ごときに
  果たして私が
  愛せるでしょうか
 
 
 
  あの人のことを
  笑って言う君に
  笑えぬ
  我が素直さを愛す
 
 
 
  「いい酒をもらったんだよ
  持ってくね」
  逢うためについた
  ブザマな嘘を
 
 
 
  無添加のものとは
  大抵不味いと言う
  君の言葉にも
  当てはまる真実
 
 
 
  どうしようもないほど
  叶わないような
  恋がいちばん
  心地がよくて
 
 
 
  レゴブロックほどに
  しっかり積み上げられたなら
  二人もきっと
  変わっていたはず
 
 
 
  君につけられた
  背中の傷が
  一生消えない
  気がしてた
 
 
 
  「もう少しこのままでいよう」
  私が君に
  言った
  最初で最後のわがまま
 
 
 
  言われても
  到底わたしは愛せない
  蝶よ花よと
  生きてきた人
 
 
 
  君の前で
  初めて流す涙は
  どうか
  嬉しい涙でありますように
 
 
 
  ウソみたいに
  晴れた日がいい
  魚が空泳ぐのも
  君と手をとって歩くのも
 
 
 
  例えれば
  君は屋台のタコ焼きに似て
  美味くなくても
  ほしくなるもの
 
 
 
  君に聞きかけて
  やめては後悔す
  「どうすれば私は
  幸せになれる?」
 
 
 
  もし
  君が
  殺されたなら真っ先に
  疑われるほど近くにいたら
 
 
 
  無防備に眠る男の
  左手の
  くすり指の節
  残す噛み痕
 
 
 
  世ノ定メ
  女が男に盲目に
  なれるから恋は
  うまくいくのだ
 
 
 
  青から赤
  君の歯ブラシを
  替えてみる
  ケンカして泣いて眠った翌朝
 
 
 
  土曜日の十六時だけは
  空けておく
  君からメールが
  入ってくるから
 
 
 
  私の名を
  呼んだことすらない奴に
  ホれた弱味だ
  馬鹿な女よ
 
 
 
  いちばんに無難な場所は
  本当は
  君から
  いちばん見えない場所で
 
 
 
  君の憎むサプリメントに
  君の愛する私は
  生かされている
  現実
 
 
 
  今さらになって
  出て来た白地図に
  君の家とか
  書き込んでみる
 
 
 
  一度でも
  考えたことが
  ありますか
  「便利な女」の存在意義を
 
 
 
  バースディケーキに
  二十のロウソクを
  立てる
  残酷な「年下の彼」よ
 
 
 
  頭の悪い女と君に
  思わせるのは
  意外と
  簡単なのかもしれない
 
 
 
  いつだって
  「会えない」ばかりの私達
  恋に生きるほど
  ヒマじゃないから
 
 
 
  Trick or Treat?
  君に選ばせる
  余地など
  とっくになかったはずで
 
 
 
  くちづけをしてる間も
  君の手を
  捕らえる手段を
  検索してる
 
 
 
  愛のささやきは
  私を縛る呪いだと
  もっと早くに
  気付けばよかった
 
 
 
  君がくれた
  チューインガムすら
  味のある間に
  捨ててしまう性格
 
 
 
  あの日
  君と目さえ
  合わせなかったなら
  私どんなに幸せだったか
 
 
 
  元凶は
  すこしの痛みも感じない
  将棋倒しになった
  自転車
 
 
 
  君はそうして
  日を増すごとに
  はぐらかすのが
  上手くなってく
 
 
 
  身勝手と
  小賢しいことだけが得意
  可愛い彼女に
  収まりきれない
 
 
 
  「愛」や「恋」と言う字に
  「心」が一つしか
  入っていない意味を
  思い知る
 
 
 
  淋しいなら
  たまには会おう
  気が向けば
  君の話も聞いてやるから
 
 
 
  火のごとく
  花火のごとく
  あとかたもなく
  消え去ったあの人のごとく
 
 
 
  「水瓶座は
  意中の人と急接近」
  昨日
  別れたばっかりなのに?
 
 
 
  今さらに突き付けられる現実を
  そうやって
  終わるものもあるのだ
  と
 
 
 
  別れの理由がある
  別れの方が
  実は少ないと知った
  神無月の日
 
 
 
  「それなりに切ない」
  君の価値は結局
  その程度だった
  ということで
 
 
 
  ト-ストの
  焼き加減すら
  君に染まった私
  これからどうすればいい?
 
 
 
  偶然の再会
  まるで忘れてた
  カサブタを
  はがされた感覚
 
 
 
  あの浴衣も
  もう着ることはないでしょう
  ジーンズで見送る
  花火を夏を
 
 
 
  叶うかとかは
  結構どうでもいいことで
  あなたのことが
  大好きでした。
 
 
 

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