久野さんの話

最後は久野さん。

私は高校入学すぐ、同じクラスのマンガオタク4人で意気投合してそのまま卒業までつるんでいたが、久野さんはその1人だった。

残りの2人は小説書きで文芸部顧問に「太宰を読め!谷崎を読め!」と言われながらスレイヤーズ片手に厨二病ラノベを部誌に書いていた(文芸部員は2人だったので顧問も退部させられなかった)

ただ久野さんは漫画もアニメも見る専の剣道少女だった。

聞いた話だと小学低学年から剣道をやっていたらしい。

単純な剣道の腕だと入部すぐに3年生に勝つレベルだった。

体も大きく、性格も竹を割ったような絵に描いたような剣道少女だった。

しかし久野さんは何か持病があり長時間の運動ができないという話だった。

部活以外の日常生活で困っているのは見たことなかったし、あまり根掘り葉掘り聞くのもアレかと思い病名などは聞いてない。

実際、体育の時間も短距離はクラストップレベルなのに、長距離は私(要するにビリ)と並走していた。

体育の先生が何も言わなかったところを見ると先生も病気を認知していたのだろう。

そんな子が毎日放課後何時間も剣道部の基礎練習についていけるわけがない。

で、時々部活を抜け出して「かくまって!」と美術部に避難してきていた。

そこに副部長が声をかけた「兼部しちゃえば?兼部なら美術部に行くって言えば堂々と休めるじゃん?」

「でも私、棒人間も描けないよ?」

「全然オッケー!何なら美術室にいなくてもアリバイ工作はするよ!」(入部届を出す)

オッケー????

ん?オッケー???????

本当にいいの?副部長??????

ついに絵を全く描けない美術部員まで誕生してしまった。

実際、久野さんは週2くらいで美術部に来ていたが一切絵を描こうともしなかった。

画材を見て「これってどうやって使うの?」とかは聞いてきたが「じゃあ描いてみる」とは全くならなかった。

ひたすらお茶を飲んでお菓子を食べて雑談をしていた。

絵!!!

絵描けよ!!!!!!!!!

剣道部には久野さん以外、知り合いもいなかったので剣道部内での久野さんの評判はわからない。

でも腕前はよくても大会に出るとかいう話は一度も聞いたことがないところを見るとやはり芳しくはなかったのだろう。

久野さんも理系(彼女は主に物理が得意だったが)少女でスポーツ医学をやりたいと医療系の専門学校に行った。

実は今でもLINEで繋がってる。

ていうかTwitter見てるので、多分このブログも見られる。

まぁ久野さんのことなので「もー、ぴよちゃんってばー」で済むと信じてる。

もししばらく後にこっそりこの記事が消えていたらいろいろ察してほしい。

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