ダンナさんがふと「12月ってなんかワクワクしない?」と言ってきた。
(え?私には過酷な月のイメージしかないんだけど?あれ…そういえば、なんで私こんなに12月=地獄のイメージしかないんだ?今は仕事一番忙しいの9~11月上旬くらいだし、むしろ12月は暇だし、家も子供もいないし忘年会とかもないから特に何もせずに、大晦日は実家で食っちゃ寝するだけなのに、なんでこんなイメージ悪いんだ?)
それは20代前半に遡る。
私は小さな企画会社でバイトをしていた。
基本的には地域のフリーペーパーをデザインしたりしていたが、会社の主な収入源は店と契約して、店一件ごとに広告やPOP、またはセールやイベントなどを企画する仕事をしていた。
で、地獄だったのが12/25の夜~1/1の未明だ。
皆さんは12/25の商店街はクリスマス一色なのに、26日になった瞬間大晦日モードになってるのを見たことがあるだろう。
あれは小人さんがやってるのではない。
店は朝イチで店員さんやバイトにやらせるところも多いけれど、例えば商店街に一定間隔で貼られているフラッグや横断幕、ショッピングモールの大きなツリー、看板、ああいうのである。
12/25の各店の閉店時間をリストアップして、分刻みのスケジュールを立て、大体20時頃から活動を始める。
ワゴン車にあらかじめ用意した宣材をありったけ詰め込んで、積み込めない分は社員の私用車や実家から車を駆り出して、各店を回る。
正直時間が足りない。
やることが多い。
金田一少年の犯人のあの画像状態である。
当然だがそれぞれにディスプレイは異なる。
あるはずの宣材がないこともある。
私は車の運転がないので、基本後部座席で次の店の宣材をまとめておく係だった。
そこでタッカー(ホッチキスの大きいやつ)が必要なのに準備してないとめちゃくちゃ怒られる(やった)
閉店直後なら店員さんが手伝ってくれることもあるが、深夜2時になる所とかは予め合鍵を借りたり、警備会社に連絡して店を開けてもらう。
なので、違う店のPOPを貼って出たりしてしまったら詰む(やった)
その時は翌朝、店員さんが出勤してから謝って入れ替えさせてもらう。
閉店後の店内は基本的に暖房がついてないので、寒い。
夜中、誰もが寝静まったクリスマスの夜にショウウィンドウのマネキンに暖かそうなコートを着せていく。
私はユニクロのセーターを腕まくりしてるのに、である(袖があると作業のジャマなため)
細かい作業もあるので当然手袋もできない。
死ぬ。
そうやって、25日の20時~26日の8時頃までの12時間で街中をクリスマスから年末商戦に塗り替える。
仮眠どころかパンも何なら水ひとくち飲む時間も惜しい。
それ以前に宣材にコーヒーをこぼした日には大惨事なので、誰も飲食物は持ち込まない。
後片付け含めて26日の昼過ぎには事務所は屍累々だった。
もう一度言う。
小人さんがやってるのではない。
それで終わるならいい。
わずか5日後の31日の夜には同じ地獄がやってくる。
しかも31日は夜遅くまでやっているお店が多いのでもっとスケジュールがタイトになる。
1日に休む店もないではないが、休んだとしても1日にショウウィンドウが年末のままではおかしいので入れ替えなければいけない。
除夜の鐘も年越しそばも紅白も知ったことではない。
そして1日の昼過ぎには事務所は屍累々だった。
何度でも言う。
小人さんがやってるのではない。
いや、それ言ったらバレンタインやハロウィンは?と思う人もいるかもしれないが、バレンタインは店によって推し方も推す期間も変わるし、中にはバレンタインより節分優先の店もある。
ハロウィンは15年前はそんなにメジャーではなかったのでディスプレイにまで力を入れる店はそれほどなかった。
夏は○日以降に水着をディスプレイしてると明らかにおかしい、とかいう時期は基本的にないので割とゆったりしていた。(財政的には厳しかったが)
なので、同じ日に入れ替えが集中するクリスマス後と大晦日だけが地獄なのだ。
体力があったからできることだけど、よくやったなぁ…。
というわけで26日に店がクリスマスから大晦日ムードになっているのを見たら、その裏で徹夜してる屍に少し思いを馳せていただきたい。