フランスに留学していた
友人は
とんでもない時間に
電話をかけてきたもので
寝ぼけた声で応じる私に
彼女は
時計の目盛を数えてから
あわてて謝ったりして
そんなことが
何度かあって
そのうち
彼女とは疎遠になった
話を君にすると
君は笑う
じゃぁ、僕も
外国に行ったりはできないな
君も私も
英語の偏差値は
絶望的だったから
その点はあまり心配ないけど
笑顔を絶やさず
虫も殺さない君と
悪知恵と姑息さには
定評のある私
とりあえず
天国と地獄の時差が
どのくらいか
分からない限り
私は
死ぬわけにはいかない
君に言えばきっと
また笑うから
かなり切実な願いは
自分の中に閉じ込めて
とりあえず
今は
時差のない距離で
君の隣を歩いている