0831
8月5日(木)
「あれ?かず君の家に泊まったんだっけ?」
「そうだよ。酔っぱらって寝ちゃったんだ。覚えてない?」
「え~覚えてない~今日は土曜だしいっか」
見た目は31歳の妻は、蜜月中の若い独身女性になって甘えてくる。それを可愛いと思ってしまうあたり、いよいよ俺も病んで来たのかもしれない。
「ねぇ、かず君あのさぁ」
「うん?」
「今日私の誕生日なの知ってる?」
「知ってるよ。8月31日」
「私、誕生日が結婚記念日になるのが小さいころからの夢だったんだ」
4年前言われたのと全く同じ言葉を、妻は……いや『彼女』は口にする。それならば俺も同じ言葉を返すしかないだろう。
「来年の今日に結婚しようか、千尋」
彼女は目を潤ませて笑顔を浮かべた。