待ち人をさがす
ショーウインドウの中
春よ
お前は今どこにいる?
牛丼屋にひとりで行ける
女にだけは
なりたくない
と思ってたのに
サボテンと
マリモ三匹
私ひとり
お手軽すぎる家族紹介
思い出は生まれてはじめて
食べたマシュマロ
どんなにかんでも
消えてはくれずに
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
「申し訳ありません」
しか言わない一日
白菜を嫌う心も
消え失せる
大人になるとは
そう言うことか
曇り空、晴れ、雨
どんな日も愛そう
私どこへでも
歩いて行ける
温泉卵の
脆きココロを引っさげて
下げた視界に
見える世界に
友人の
「結婚しました」の葉書
新婦の顔に
落書きなどして
雨と紫陽花と蝸牛
ありふれた風物詩が
今日は
泣いているようで
藁半紙・毛筆手書きの
「故障中」
自販機の字に
目が行く違和感
どんな日も
笑える強さでなくて
弱さが
私を生かしていると言うこと
タケコプターに
できることなど
所詮
そんなに多くはなくて
この国に
ロクな男がいるのなら
カミサマ
私に教えて下さい
天の川など
壊してしまえ
愛をつかむのに
遠慮はいらない
1パック
398円の
白身魚の
青きいのちの
昨日より
少しオカタイ言葉で
昨日と
同じ幸せを祈る祝日
不意に何かを
吐き出したくなるから
嫌いなタバコを
買い置きしている
今日と明日の
境が見えなくなったのは
誰だ?
いつだ?
届けられますか?
結構、ワレモノチュウイな
私の心の
かけらなんですが。
カンタンに
塗り替えられる
最高気温
いっそ魚になってやろうか
午前四時三十七分
コスモスと
私だけしか
生きてない世界
想い出も(笑)で
終わらせる
愛なき女の
強かさとして
ひとりぶんの食器を洗う
水音に
おびきだされた
私は蛙
私だけの物が増えて行く
ひとり部屋
反比例して
減ってく居場所
夏の雲さえ
手が届く
ような気がした
木曜日
立方体に
きちんと収まる物なんて
水以外ないと
初めて知る時
国道の端で死んでた
ハムスター
きっと私より
波乱万丈な一生だった
あまりにも暇
NHK教育の
小学理科を
見ているくらい
空気さえ
お金が必要なのが悲しい
タダには裏が
あるのがかなしい
真四角に
切り取りされた青空を
「きれい」と笑える
人をうらやむ
エコロジーの
意味を尋ねてくる祖母の
無知と無邪気と
あどけなさとを
今夜の月は
黄色か
白か賭けてから
待つ満月の夜
蛇口から落ちる
雫の一粒も
止める
一眼レフの魔法を
真夏日を
行き交うトンボの交差点
道に迷った
子はいないのか
目が覚めて
いつも私は息をつく
いい夢なんて
見た試しがない
隣人も同じドラマを
見ていると
分かってしまうほど
薄い壁
片想い
辞書にない言葉が
何よりも
甘く遠かった頃を想って
親切な標識なんて
いくらでも
あるのに忙いでいるのは
あなた
製品名はヒト
若干の健気さと
わがままだけで
出来ているモノ
World Wide Web
世界とはこんなにも
狭くちっぽけなもの
だったのか
飛ぶのには
少し重すぎるこの心
沈むにしては
軽すぎる心
横断歩道の
白い帯さえ歩いていれば
勝ち誇られた
あの頃のル-ル
正義の味方を
気取ってみたりもしたいけど
正しいものなど
見たこともない
このごろは
地球の声が聞こえない
蝕む音なら
騒がしいのに
このココロは
どこに置けばいい?
こんな時まで僕は
やっぱり片づけ下手で
からっぽの冷蔵庫の中
茶碗とか
化粧水とか
詰めてみる夜