大失恋から幾星霜
それなりに
紆余曲折も経て
それなりの
彼氏もできました
遠い街へ引っ越す
あなたに想いを告げた
あの日から心が変わった
ワケじゃないけど
新しい彼はあなたとは違う
背の低いよく笑う人です
思い出は日ごと
上書き保存
置き換えられて
今では私もあなたの瞳を
時折思い出す程度
でも
ゴミ箱フォルダに入れた記憶を
なかなか
空にできるはずなくて
私のようにあなたも
他の誰かと寄り添いながら
ふと仕事の昼休みに
ふと天気のいい休日の朝に
私の声を思い返してくれたなら
どんなに素晴らしいことでしょう
だって私
忘れるために
恋をしたわけじゃない
ゴミ箱を
空にできる日なんて
来ないのも勇気と呼ぶのだと
人を愛して知りました