正義の味方になりたかった。
弱いピンクなんかじゃなくて
かっこいいレッドになりたかった。
地球を狙う宇宙人と
合体ロボットで戦いたかった。
テレビの前で叫んでた
女レッドの今の敵は
疲れるバイトと
減ってく貯金と
風呂の水アカくらいなもので
宇宙人よ
攻めてこい
攻めてこい
どうか、今すぐ攻めてこい
そうすれば私が倒してやろう
そうすれば私はヒ-ローになれる
バイトと貯金と水アカが敵じゃ
倒しても誰もほめやしないし
そのクセ
きっと永遠に
新たな敵がやってくる
眉をかかなきゃ
外にも出れない
憶病者でも
ヒーローなんだ
一生続くシリ-ズの
主人公だ
ヒーローなんだ
けれども私は
いまだかつて
本当に正しいものなど
目にしたこともない