Artist Web Siteたけてん

初雪


 いつだって そう
 君は私に
 付け入る隙も与えてくれない
 


 朝
 門灯に座っていた雪兎
 一晩中泣き明かした紅い瞳に
 震える心を 幾つでも
 いくつでも
 押し込んで
 止まらない
 想いごと
 擦り切れたコートの背中
 飛び込んでやろうか
 


 いっそのこと
 君の手が
 こんなに暖かくなければよかった
 そうすれば
 凍えた手を温める吐息が
 私の名を囁く唇が
 冷たく抱き締めても
 気にもならないはずなのに
 


 いつまでたっても消えない雪
 赤い指でつかみながら
 繰り返す
 手探りで確かめる
 癒されなかった傷
 君がまだ
 私の掌中にいることを


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