0831
8月29日(日)
凜の荷物をまとめた。服と雑貨と……本はいらないだろう。
棚を探っていると一枚の封筒が落ちてきた。小花柄で彩られた上品な封筒。住所は書いてない。ただ『東和也さま』となっている。大学時代のものだろう。きっと出したくて、出せなかった手紙だ。
俺はゆっくりとその封を開いた。
そして、すべてを知る。
妻の本心を。
本当にほしかったものを。
俺は手紙を握りしめ凜の実家に向かった。
「凜の荷物はどうしたんだ?」
玄関に出てきた義父が顔をしかめる。
「凜は俺が預かります!」
「何を……?」
「あなたは凜のことを愛してなんていなかったじゃないですか!凜は……例え何歳の凜でも俺が育てます!」