0831
8月23日(月)
何のことはない。
俺一人蚊帳の外だったのだ。
俺一人、ただの偶然の『ひがしかずや』
東和也と東数弥は実の親子で7月31日も大学の友人とでなく実父と義弟と3人で会っていたのだ。
そこで強く思ったのだろう。
「昔に帰りたい」と。
義父とでなく実父と弟と暮らしたいと。
あとは、俺の決めることではない。凜の判断だ。小学生の凜にその判断ができるか?
俺は凜の実家に戻った。インターホンを押すと「はーい」と大きな声で小学生のような笑みを浮かべた31歳の女性が出てくる。
「凜ちゃん」
凜の頭をなでた。できるだけ優しく、声が上ずらないよう。だって仕方がないだろう。
「お母さんとおじさん、どっちと暮らしたい?」