言い訳もできない
嫌いな言葉は
「お母さんに似ているね」
十二の時から長すぎた反抗期
あなたと同じ丸顔に
あなたと同じ低い背が嫌い
「平凡」の二文字に日々追われてる
そんなあなたが嫌で選んだ
美術大学デザイン学科
気がつくと、
かつてのあなたが憧れた
絵本作家を目指してた
同じ料理を作るのが嫌で
台所には並ばなかった
帰省すると、
本で学んでいたはずの
だしのとり方が同じだった
あなた譲りの黒髪が嫌で
ライトブラウンに染めた髪
よく見ると、
最近使い出した白髪染めと
全く同じ色だった
容姿も趣味も性格も
仕組まれているとしか思えない
複雑すぎて理解らない
恐るべき遺伝子達の記憶には
言い訳もできない
言い訳にもならない
あなたと全く同じになる
残る要素はただ一つ
父によく似たあの人との付き合いを
そのために最近、
一考していたりもする