0831
8月14日(土)
妻は再び実家に戻ることになった。
18歳の彼女はありもしない課題のレポートを書き始めたらしい。携帯電話も当時は持っていなかったということで、俺が預かることになった。これで妻との通信手段は実家の据置電話と義父母経由の携帯だけだ。
俺は義父母になるべく様子を知らせてもらうように頼んで妻の実家を後にした。
そして『かず君』に電話をした。何か打開策はないか、妻の現状をありのまま伝える。
『かず君』はしばらく押し黙って言った。
「明日日曜なのでよろしければお会いできませんか?」
俺は了解し、駅前の喫茶店を指定する。
一人でカップ麺を用意していると、義母から電話があった。
ヤカンを持った手が止まる。
『娘が家を出て見つからない』
と、義母は言った。