かぼちゃ

※今日の話には
 痛い(精神的にでなく物理的に)描写が含まれています。
 他人の血とか怪我の話が苦手な方は読まないで下さいね。

私はカボチャが嫌いだ。
茄子嫌いとか
納豆苦手とかは長いことサイトに
来てくれてる人なら知ってると思いますが
実はそれらとは別にカボチャが大嫌いです。
でもカボチャの煮物もスープも美味しくいただけます。
むしろ好きな部類です。
じゃぁ、何が嫌いなのかというと
料理するのがものすごく嫌いなのです。
あれは忘れもしない
6年くらい前(あやふや)の4月のこと。
当時の私は一人暮らしを始めて数日。
大学の入学式を数日後に控え
「ステキな一人暮らし」を満喫すべく希望に溢れていました。
雑誌でいろいろ調べた結果
「ステキな一人暮らし」に必要なのは、まず自炊!
一人分の工夫した料理を作って
毎日を楽しく美味しく暮らすことが
(私の調べた結果)必須条件でした。
「さぁ今日の夕飯を作ろう!」
もう何の料理だったかは覚えてませんが
とりあえず本で見たカボチャ料理を作ろうとしていたのだと思います。
何かカボチャの皮むきが必要な料理だったのでしょう。
私はウキウキと
生のままのカボチャの皮を包丁でむこうとしました。
カボチャはレンジでチンすると調理しやすいなんて
当時の私は知る由もありません。
大根のかつらむきのような体勢で
「あれ?固いなぁ…」
その次の瞬間でした。
ズシャッ
添えていた
親指の
関節より下の肉が
ペローンとはがれ
ダクダクと
血が
あふれ出したのです。
もう料理どころじゃありません。
引っ越してきたばかりなので
ご近所に迷惑になるといけないと(こういうところ無茶苦茶小心者)
叫び声もあげられません。
というか痛くて声になりません。
薄暗い台所で一面に広がる血の海。
とりあえず「可愛いから」と
家具などを買い揃えるついでに雑貨屋で買った
スナフキンの模様つきの絆創膏ありったけを出し
はがれた肉を固定すべくグルグル巻きにしました。
「病院を」
と思ったけど時間は夜の八時を回ってます。
土地勘のない街で救急病院の場所など知っているわけもなく
タウンページも持っていないし
当時はネットも繋いでいませんでした。
とはいえ指の肉がぺろーんとはがれたくらいで
救急車を呼ぶ度胸もありません。
入学式前だったので
近所に友達はおろか知り合いの一人もいません。
実家に電話したところで
岡山ー神戸間を飛んでくるほどの怪我でもなし。
騒がせるだけでどうなるものでもなく。
とりあえず
どうすることもできず
買ってきたばかりのティッシュで床に広がった血を拭き
そのまま寝ることにしました。
が、絆創膏でグルグル巻きにしただけの指。
血はとめどなくあふれ出ます。
このまま布団に乗ったら
翌朝には確実に洗うのは不可能なほどの血溜まり布団の完成です。
仕方なく4月上旬のまだうすら寒い夜
床に直接眠るひびきゅうがいました。
タオルケットだけを掛け布団にして。
風邪をひかなかったのは不幸中の幸いでしょうか。
翌朝、人間の治癒力とはすごいもので
ぺろーんとなってた部分はほぼ指にくっついていましたが
何せ素人治療。
跡は未だにしっかりと残り
時々人に見せては嫌がられています。
その日以来、一人の時の自炊はやめました。
私の「ステキな一人暮らし」計画もわずか三日で終わりを告げました。
誰もいない場所の料理がいかに危険か
そしてカボチャがいかに危険か、お分かりいただけたでしょうか?
あー、書いててまた涙出てきた。
当時の痛みはもう忘れちゃったけど
あの時のなんとも言いがたい孤独とどうしようもなさは
未だにしっかりと残っています。
何でいきなりこんなことを言い出したかというと
母が「カボチャのスープの作り方教えてあげる」とか言い出したので
この顛末を先ほど涙ながらに語ってやったのです。
母は(ややバカにした表情をしつつ)
「カボチャのスープはレトルトで美味しいのがあるし
 煮物したかったら切った冷凍カボチャがどこの店にも売ってるよ。
 カボチャが切れなくても生きていける!」
と、なぐさめてくれました。
今日の結論→カボチャが切れなくても生きていける!
と言うわけで、私はやっぱりカボチャが嫌いだ。

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