0831 8月9日(月)




 携帯電話の着信音で目が覚めた。寝ぼけた目で画面を見ると朝の6時だ。
 妻からだった。
「もしもし」
「あ、あの……東さん……ですか?」
「……えっと神原さん。どうしたの?」
 妻は今、23歳。俺と仕事で出会ったばかりの頃。久々に妻を旧姓で呼んだ。声を潜めて、しかしやけに慌てた様子だ。
「何故か分からないんですが、携帯に実家とあなたの番号しかなくて……あの……」
 潜めていた声が叫び声に変わった。
「お願いです!助けてください!」
「どうしたの?神原さん」
「わけが分からないんです!いきなり髪が伸びて、顔も老けて……!母が……私を病院に入れるって!何が起こってるんですか?」
 そして、続いた声に我と我が耳を疑った。
「かず君に会わせてください!」



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