0831 8月4日(水)




 妻の職場にしばらく仕事を休む旨を伝え、俺はある場所に向かった。
 帰ってくるなり、妻が飛びついてくる。
「もーどうしたの?今日は大事な日なのに」
「だからだよ」
 俺は役所でもらって来た婚姻届を出した。
「え?書いたじゃない。今日出すんでしょ」
「ごめん、なくしたんだ。もう一度書き直してもいいかな」
「しょうがないなぁ」
 文句も言いつつ口調はご機嫌だ。嬉しそうにボールペンを走らせ、実印を押す。
 手を繋いで役所に向かい、窓口に出す。恐らくすぐに受理不可の手紙が来るだろう。それさえ隠しておけばいい。
 妻の中では来週の日曜に披露宴が予定されているはずだが、もう3年も経つのか。
 昨日の夜にこっそり外して磨いた指輪を差し出した。妻は今28歳のつもりらしい。



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