夏の猫の噺

夏の盛りに猫を拾った

痩せ細って泥を浴び
しかし
顔立ちのいい三毛猫で
文月なので
「ふみ」と名付けた

暑い夏を共に過ごし
瞬きする間に
大きくなり

秋には月を眺め
酒を酌み交わし

初めての雪に戸惑い
コタツで暖まり

春は何かを恋うて
一人と一匹で夜中泣いた

ふみと迎える
二度目の初夏に
私は笑って問うてみる

「今年の夏は暑いですか?」

ふみは答える

「名前はまだない」

ふみはまだ
言葉があまり
分からぬらしい

#30DayVerseChallenge
DAY
3:夏を思い出させる歌

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