POEM

自由詩

毒苺のはなし

のどのかわきを うるおそう  こころのきずを けしませう  ひとらのために あるものは  なにをおもうて いきていく  さみしさみしと まようのは  われもあのこも またおなじ  まよいまようて さけぶのは  われもあのこも またおなじ  ...
自由詩

独立記念日

君からもらった携帯は  昨日コンビニのゴミ箱に捨てた  明日になれば土に還る  もう二度と鳴ることもない        みんなは  別れと言うけれど  私たちにはこれが始まり  二人で一人だった  ふたりが  ようやく  一人でひとりになれ...
自由詩

午睡

16:00  ソーダキャンディで  空腹をごまかしてみる        さしこむ西日の中  微睡みに沈みながら夢に見るのは  明日の予定や  今日の失敗より  昔、恋をしていた少女のことの方がいい        陸上部のエースだったあの人へ...
自由詩

恋哀

今日、君に恋をした      決して叶わない恋  叶えたくもない恋      ずぶぬれのアパートが出迎える      部屋中に響くのは  シャワーの音か、雨の音か  浴槽に流れるのは  シャワーの水か、涙の滴か      君はとてもとても素...
自由詩

ステネコ

せめて今日  晴れていてよかった        強くなれ  強くなれ  つよくなれ  こどもの頃のおまじない  三回唱えて目を閉じた        紙切れ一枚で  あれほどに辛かったことが  すべて消えた  軽くなるはずの心は  ひどく重く...
自由詩

旧三年五組のみなさんへ

今年は花がきれいなので  同窓会をひらきます。        忙しい人も  お暇な人も、  みんなそろって来てください。  六年前のあなたと  あなたは  どんなに変わったか教えてください。  全然変わっていないあなたは  どんなに変わった...
自由詩

朝になったら

苛立つほどに  晴れた空の日  ローカル線の  ボックス席で  ひとり微睡む日        向かいの席には  幼稚園の制服を着たこども、ひとり  マタニティドレスの母さん、ひとり        「お母さん、いま通ったの何?」  「あれは下...
自由詩

遺書

届くはずもない  君への別れの手紙なんかを  書きなぐって  自分に酔っていたら  話が広がって  話がそれて行って  遺書みたいになってしまったから  引き出しの奥の奥に  しまっておくことにした。        「私がいなくなったら  ...
自由詩

暮道

かえりみち  あぜみちに  いっぽんの  れんげそう        きれいだね  つもうかな  じてんしゃを  とめてみる        ながいこと  みていたら  くびふった  れんげそう        「……摘まないで」        ...
自由詩

トゥルーマン・ショー

私の見ているこの世界は  実は作り物で  家族も役者で  通行人はエキストラ  そんな感覚に  取り憑かれることがある。        そんな日は  そんな時は  君の腕の中で眠る  君もワタシ好みの  俳優なのかもしれないけど  何もかも...