自由詩

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スープ

野菜を乱切りにありったけ放り込んでクタクタになるまで煮込みフツフツ湧き溢れるだけの旨くもないスープのようなこころが吹きこぼれないよう全力で蓋を抑えてるひとは言う火を止めればいいのにと火を消せばすべて上手くいくと知らないのだだれも教えてくれな...
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ごちそうさまでした

好き嫌いはいけません私の死体はあなたがきれいに食べてください脂身が少し多いけどそこは大目に見てくださいあなたはホルモンが嫌いなので少し心配だったりしますタンは大好きでしたよね柚子塩で美味しく食べてください食べ残しもいけません残さず全部食べて...
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遺書

私の心が止まる日もあなたは仕事に行くのだろうか私を体を生かすには働かなきゃと言うけれど私はただ一日だけ何の予定もなくテレビもスマホも切ってあなたと取り留めなく話しお腹が空いたら手を繋いでコンビニに行き夜通し語り明かしたかったあなたがこれを見...
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あとの祭り

予兆はありました風邪を引く時咳き込むように喉が痛くなるように予兆はありましたただそれがインフルエンザか死に至る肺炎かまたは1日寝れば治る喉風邪なのかは分かりません実は今でも分かりません私は人よりほんの少し頭を使う性分で少し頭の内側を働かせす...
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年の瀬

カレンダーを買いましたペンギンの絵とねこの絵と日めくりに週めくり卓上もありますこの表紙をめくるまで私の心はあるのでしょうかこの家の中にあるのでしょうか私の心が消えたとしても暦をめくるのを忘れぬようにあなたはそういうところが少し横着なので心配...
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切除

こころは取り除けないのかこころは切り取れないものか肝臓がない人がいる胃を取り去った人がいるみんな生きてはいけるのにこころを脳を切除して生きる術はないものか
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まぼろし

黒いおばけが見えるというとそんなものはいないよという呻く声が聞こえるというとそんな音はしないよというあなたはどこにいるのというと僕はどこにもいないよという
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青い鳥

私がそこにないものを見えると叫びだしたなら私が聞こえないものを聞こえると言いだしたなら私が何もない場所に言葉を投げ出したならその時はいっそひと思いに私の首を絞めてくださいもしも抗ったのなら私の前から去ってくださいただ私がそこにいない鳥を小さ...
自由詩

心を心として語れるならば命を命として語れるならば私は長い髪を切り丁寧に結いピンと張り弦の楽器で唄いましょう月夜の砂漠を旅してる吟遊詩人になって生きあなたの命を語りましょうそして唄は永久(とわ)に生きあなたの命を紡ぐのです
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犯人

悲しいことがあったという悲しいこととはなんなのかあなたはけっして答えないひどい人がいたというひどい人とは誰なのかあなたはけっして答えない私は名探偵になり心を痛めた犯人をものの見事につきとめる悲しいことの元凶もひどいことをした人もすべて私だと...