私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十一話 「……痕、消えちゃったか」 毎日、最早日課のようになってしまった。 お風呂に入ったときに鎖骨をついつい確認してしまう。 けっこう強くつけられたと思っていたから、若くないしひょっとしたら二週間もったりして、なんて考えていたけれど ……やっ... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十二話 「よっし、ラストスパート!」 二週間くらい、と宣言したにもかかわらず、思いのほか順調な速度で原稿は仕上がっていく。 新が出て行って一週間と四日になったけれど、もう日付変更後には、あがってしまうかもしれない。 ここまで書いている中で違和感... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十三話 ぐらぐらと、心が惑う。 やっぱり、身体は正直に反応してしまう。 彼のキスはとても気持ちが良くて、私もそれをある程度受け入れてしまっていて、 だけど、でも。 心のどこかはやっぱり虚しいの。 その瞬間、私は我に返ったかのように目を開いた。 ... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十四話 倒れた次の日、つまり一週間と六日目の事であるが。 本当に一哉が訪れたから驚いた。 きちんとご飯を食べた事を確認し、部屋の掃除をしていた私の道具を奪って、やるから寝ていろ!と一喝された。 さすがにそこまでしてもらう理由はない、と言った... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十五話 「……はーあ。なんか疲れたなあ」 昨日はあれからしばらく呆けたように部屋の中に居たけれど、しばらくして自分の部屋に戻ってベッドへ突っ伏した。 一応、佐倉には『負けた。』と一言メールを送って。 それからずっと眠ってしまっていた。 時間... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十六話 言いたい事はそりゃあ、たくさんある。 なんで昨日現れなかったのだ、とか。 連絡もなしにいきなり訪問してくるとはどういうことだ、とか。 浮気者ってそもそもあんた私の恋人か、とか。 とにかく目の前の男(今は背後にいるけれど)に喚いてやりたい... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十七話 新の言葉にしばし混乱するも、私は即座に彼の言葉を否定した。 「何言っちゃってんのよ。私ちゃんと数えてたんだから間違えるわけないでしょ」 「そんなの僕だってそうだよ!深咲さんでしょう、間違えてるの」 お互いが眉間に皺を寄せて全く同じよ... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十八話 とある大きな屋敷のはなれ、ぽつんと造られたすこし小さなその場所にとあるひとりの年老いた男が住んでいた。 その老人は、生まれてから数年ほど前まで、とても淡々と毎日を過ごし、特段それに不満を抱いた事もなかった。 しかし妻に先立たれ、実の... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第二十九話 人通りもかなり多い、週末の飲み屋街。 僕は特にどこに行くでもなく賑やかな街をぶらついていた。 漫画喫茶にでも入って夜明かしをするか。 それともまたおねーさんでもひっかけようかな。 あれこれと考えてひとつのお店の前でなんとなく立ち止まった。 ... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL
私の憂鬱。 私の憂鬱。第三十話 「深咲さーん、冴島さん14時に来るって」 「はいはい」 肩をこきこきと鳴らしながら、私は返事をする。 ちょっと休憩しようかしら。 ふう、と息を吐いて眼鏡を外した。 「深咲さん、ホットチョコレートあるけど飲む?」 「え?珍しいわね... 2020.01.08 私の憂鬱。NOVEL